介護日記 はじめに

介護日記
介護日記

母の介護が、いつから始まったのかは、正直はっきりしない。

94歳、でもトイレもお風呂も自分で行けるし買い物だってひとりで行ける。ご飯を山盛り次いでパクパク食べている、そんな元気な母だった。

最初は、叔父叔母の介護居室引っ越しでバタバタと週末動いていた頃だ。
次第に食事の量が減り、トイレの回数が増え、
「様子がおかしい」と感じることが増えていった。

膀胱炎、腎臓の腫れ、血尿。
検査、エコー、CT、紹介状。
年末年始を挟む不安な時間の中で、
「がんの可能性」「手術は難しい」という言葉も聞いた。

本人は、ほとんど理解していない。
痛みも訴えず、「大丈夫」と言う。
でも、少ししか食べられない。眠れない。
私だけが状況を背負っているような感覚になる夜もあった。

仕事の合間に病院へ行き、
時間休や午後休を取り、
デイケアの体験、在宅医療の相談、地域包括支援センターとのやり取り。
「要支援1」という言葉の重さと軽さの間で、どう動けばいいのか悩んだ。

夜中、何度も目が覚める。
母がトイレに行く音で、また目が覚める。
眠れない自分を責めて、
それでも朝になると、いつも通り一日が始まる。

それでも、全部がつらいわけではない。
母が少し食べられた日。

血尿が治まった日
布団が気持ちいいと感じられた夜。

介護は、劇的な出来事よりも、
こうした小さな「何も起きなかった一日」の積み重ねなのだと思う。

今も、先のことはよくわからない。
でも、私は今日もここにいて、
母と同じ家で、同じ夜を過ごしている。

だから、この記録を書いておこうと思う。
誰かのためというより、
いつかの自分が「ちゃんとやっていた」と思えるように。

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