介護日記34 緩和ケア病棟泊り込み

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今日から、母は緩和ケア病棟へ移された。

この2日間は一般病棟の個室にいて、面会時間なども配慮してもらっていたけれど、やはりどこか居心地の悪さがあった。
それが今日から、ようやく24時間面会が可能になる。

緩和ケア病棟の入院のしおりには、
「大切な人を看取ること」「旅立ちまでの体の変化」について書かれていた。

お気に入りの服があれば、最期に着せてあげてもよいこと。
葬儀の準備についても考えておくこと。

ひとつひとつの言葉が、
“その時”が近づいていることを、静かに現実として突きつけてくる。

病室の母は、
目がとろんとしてきた。

でも、以前のように顔をしかめることはなくなった。
緩和の点滴が効いているのだと思う。

呼びかけると目を開けてくれて、
「すみません、今何時?」と声を出してくれることもある。

手を振ると、ちゃんと振り返してくれる。

それでも、確実に病状は進んでいる。

この時間を逃してはいけない。
そんな思いが、強く胸に残った。

もしかしたら、
こうして言葉を交わせる時間は、もう長くはないのかもしれない。

今この瞬間が、とても貴重な時間に思えた。

念のために持ってきたお泊まりセット。
本当は車に積んでおくだけのつもりだったのに、
こんなにも早く使うことになるなんて、少し皮肉だ。

夜はそのまま泊まり込むことにした。

静かな病室の中で、
どこからともなく「ジーッ」という音が、一定の間隔で聞こえてくる。

テレビを消すと、余計に気になる。

母はほとんど眠っているので気にしていないだろうけれど、
私はどうしてもその音が気になってしまう。

夜勤の看護師さんが定期的に見回りに来てくれる。
そのたびに目が覚める。

思い切って、あの音について聞いてみた。

最初は冷蔵庫かもしれないと言われたけれど、
電源を抜いても音は止まらなかった。

一応確認はしてくれるとのことだったけれど、
たぶん、このままなのだろうなと思っている。

この部屋は有料の個室で、かなり広い。

空きが出れば、無料の少し狭い個室に移れるらしい。
でも、それはまだ先になりそうだ。

ここがこういう場所だからこそ、
「早く空いてほしい」と思うことに、どこか後ろめたさを感じてしまう。

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